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アルコール

電気ブラン

700円

神谷バーにデンキブランと名付けられたカクテルが登場して、およそ百年の歳月が流れています。その間デンキブランは、浅草の移り変わりを、世の中の移り変わりをじっと見てきました。

ある時は店の片隅で、またある時は手のひらのなかで― 。

電気がめずらしい明治の頃、目新しいものというと"電気○○○"などと呼ばれ、舶来のハイカラ品と人々の関心を集めていました。

さらにデンキブランはたいそう強いお酒で、当時はアルコール45度。

それがまた電気とイメージがダブって、この名がぴったりだったのです。

デンキブランのブランはカクテルのベースになっているブランデーのブラン。そのほかジン、ワインキュラソー、薬草などがブレンドされています。しかしその分量だけは未だもって秘伝になっています。

あたたかみのある琥珀色、ほんのりとした甘味が当時からたいへんな人気でした。ちなみに現在のデンキブランはアルコール30度、電氣ブラン<オールド>は40度です。

大正時代は、浅草六区(ロック)で活動写真を見終わるとその興奮を胸に一杯十銭のデンキブランを一杯、二杯。それが庶民にとっては最高の楽しみでした。もちろん、今も神谷バーは下町の社交場。

仕事帰りの人々が三々五々、なかには若い女性グループも、小さなグラス片手に笑い、喋り、一日の終わりを心ゆくまで楽しんでいます。時の流れを越えた、じつになごやかな光景です。

明治・大正・昭和・平成、時代は移っても人の心に生き続けるデンキブラン。

デンキブランは下町の人生模様そのものです。一口、また一口とグラスを傾けると、時がさかさに動いて、見知らぬ時の見知らぬ人に逢えそうな、そんな気がしてくるのです。

 

ロック・水割り・ソーダ割り対応出来ます。